Friday, October 20, 2006

レポート

今日は学校がなかったのに学校に行ってきました。グループプロジェクトがいくつかあるので、その打ち合わせです。パリに来て遊びモードがかなりあるのですが、授業も始まってようやくケースや文献を読む気になってきました(笑)。

最初はプロダクト・ポリシーの授業。製品のライフサイクルに絡んだマーケット調査を習う授業ですが、クラスのプロジェクトとして新規製品を開発するにあたってのマーケット調査を行わなくてはいけません。さらに、その調査で得られたデータが果たして有意義なデータかどうかもテストする必要があります。単なるマーケット調査の手法を習うだけではなく、もう一歩つっこんだ内容です。

一緒のグループになったのは中国人の二人(女性)。そのうち1人はフランス語のクラスでも一緒なのでかなり気心は知れています。最初は20-30歳女性をターゲットとしたマッサージ(エステ)業界で新サービスを提供する、というストーリにしようか、とかなり自己希望的なアイディアでしたが、教授と話し合った結果サービスではなく製品での調査をすることに。データのバリデーションも必要なのでそうなるとだいたいアイディアは決まってきます。ラップトップ、携帯、デジカメ、などなど。結局ラップトップで合意。ストーリー的にはつまらなそうですが(笑)、まあメソドロジー(手法、統計、バリデーション)を学ぶにはやりやすいトピックかな、ということで。

午後からは戦略のクラスのメンバーと話し合いです。来週にある EasyJet の件では概要とポイントをまとめ、3週間後にある我々のケース Vivendi はその内容をおさらいしたところでタイムアップ。このメンバーは韓国人、カナダ人、シンガポール人です。まだ始まったばかりでお互いを知る意味でも話し合いはなかなか興味深いのですが、EasyJet の直面している問題は何か、という問いには「戦略に問題がある」by カナダ人、「SWOT分析すればいい」by シンガポール人、「コストコントロールが大事」 by 韓国人。

私はちょっとびっくりしてしまいました。戦略に問題があるというのは、具体的にどの戦略にたいしてどの問題があるのか。SWOT分析すればそれで問題は明らかになるのか。コストコントロールが大事なのはEasyJetに限らず、低価格の航空会社ではどれも同じではないのだろうか。なんだか大まかな概念だけで討論している気がしてなりません。

90年代後半からEasyJetの業績が伸びた背景にはインターネットの普及、規制緩和、景気の上昇(余暇充実をはかる傾向)などとともに、低価格旅行者層を狙ったある意味ニッチなマーケットに特化したサービスを提供したからです。その後大手航空会社も真似て同様の低価格サービスを導入しますがことごとく失敗。最終的には低価格航空会社が大手航空会社のエコノミー版事業を買収するまでになりました(EasyJet は British Airways のエコノミー版GOを買収)。一方で低価格旅行者層の市場も伸び率はあるものの、さらなる発展をめざすには事業の拡大が必要です。

こうしたなかで浮上してきた問題としては、合併による企業文化の違いをどのように乗り越えるのか。低価格競争の中でいかに他社と差別化を行い、顧客ロイヤリティを増やすのか。東欧など経済発展が著しいエリアを見込み、ビジネス客もターゲットに入れるとしたら具体的にどういった問題が出てくるのか。最近取り上げられたチケットのキャンセル、到着および発着時刻の遅延などはビジネス客をターゲットとするには非常にクリティカルな要因となってくるが、ではどのようにこのセグメントにアプローチすればいいのか。

などなどなど。

ざーっと考えただけでもこれだけ出てくるのに、いまいちメンバーの反応が弱い気がします。ま、ケース読んでいなかっただけならいいんですけどね(笑)。

ちなみにVivendiはフランスの複合企業です。私は全く知らなかったのですが、もともと水道事業から発展した会社で、水道、下水道、エネルギーなど事業を広げ、さらには通信、不動産、ヘルスケアまで手がけるようになりました。が不動産の失敗がたたり、利益がマイナスとなったところで改革が始まりました。もともと強かったコアビジネスである公共事業、今後の発展が期待される通信、そして不動産&建設にターゲットを絞り、まずは財政の建て直しをはかります。38歳のCEOのもと、大胆な決断がなされます。組織の単純化、不動資産の売却、公共事業から得た利益を通信事業にまわして携帯電話やメディアの分野を強化を進めます。ケースでは1998年までなのですが、現在この会社はマルチメディア会社として成長を続け(公共事業は分社化したようです)Universal Music なども買収。通信だけではなく、メディア、エンターテイメントの分野にも手を広げたようです。

こんな会社あったんですね(笑)。

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