Thursday, October 12, 2006

戦略ざんまい

今日は戦略系の授業が二つ。いつも思うのですが、戦略系の授業、教授はとても面白いです。ミラノのBocconiでも、パリのESSECでも。ただ、戦略のセオリーや教え方は学校によってそれぞれ少し違うのです(学内の教授陣では統一していますが)。まあ戦略って right answer や right tools っていうのがなかなかないので、いろいろな見方、捉え方ができるからかもしれませんけどね。

さて、最初の授業は Competitive Strategy。「コンペティティブ・ストラテジー」っていかにもありそうだけど定義がいまいちわからないな、と思ったのですが、ビジネスやネットワークのレベルで、より競合力を高めるための戦略、らしいです。コーポレートやファンクショナルレベルではないらしい。

薬学の博士学を持つのがこの教授。研究していた時にフランス軍隊のプロジェクトに関わり(放射線の被曝量を血液から調べるというのがテーマだったらしい)、科学以外は全く無知だったのでESSECでプロジェクト・マネージメントやアカウンティングのクラスを取り始めたそうです。そしたらESSECが教授職をオファー(笑)。で結局ESSECで教鞭をとることになったそうです。

かなりダイナミックな先生で、何を言いたいのか、何を私たちに言わせたいのかが曖昧でしたが、それでも授業は面白いです。ちょっとしたゲーム理論の実践をしてみたり(理論を読むよりよっぽどわかる)。

ゲーム1
「ここに10切れのパイがあります。あなたは隣の人に何切れかあげることにしました。残りは全てあなたの取り分です。あなたは何切れ隣人にオファーしますか?ただし、もし隣人が「いらない」といえば、あなたも隣人も何も得ることができません。」。

簡単ですので、ぜひやってみてください。

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ちなみに私がオファーしたのは5切れ(隣人は accept)。隣に座ったシンガポール人がオファーしたのは4切れ(私も accept)。この時の心理が面白いです。4切れオファーか。相手は6切れなのに。でもこのオファーを受けなかったら私は何も得るものがないな~、と考え、等分ではないのですがOKを出しました。

クラスの中には1切れをオファーした人も。「相手はNOと言えば何も得るものがない。0より1の方がいいに決まっている。そして自分の取り分を最大限にしたい」というのが理由。非常に rational。

ただここでのポイントは、①1切れをオファーされた隣人は、NOと言う力をもっている → あなたに取り分を与えない(隣人も取り分はないが所詮1切れ)こともできる。②たいてい、4から5切れをオファーする人が多い。そうするとOK率はあがる。4切れと5切れの違いは、4切れはリスクを伴うが、その分ベネフィットもある。5切れの場合はリスクはかなり回避できるが、取り分は隣人とイーブンになる。

なかなか面白いと思いませんか?ちなみにほとんどの人は5切れオファー。次に多かったのは4切れと1切れ。それ以外はほとんどありませんでした。NOと隣人に言われる率は1切れが一番多く、その後数字があがるにつれ減少して行きます。教授いわく、実際のビジネスの交渉も同じ。全てrationalに考えるケースというのは非常に少ないそうです。

ゲーム2
「ここにある商品があります。あなたはその在庫を6個もっています。そしてあなたの競合も6個持っています。さて、現在のマーケットではこの商品を買いたい、という人は10人。マーケット調査から、彼らのこの商品に対する willingness to pay は10ユーロであることがわかっています。これからこのカスタマーが1人ずつ、あなたと競合を訪れ値段を聞き、安かった方を購入します。それぞれのカスタマに対して、自分で値段を考えてください」。

まず一人目。値段を考える。競合も値段を考える。いっせーのーで、でお互いの値段を見せ、安かった方が売上計上、高かった方は売上なし。これを10回繰り返す。お互いの値段が一致していた場合は、1回目はあなた、2回目は競合、3回目はあなた、というように順番に売上を計上する。

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これも面白いでしょう?なかなか脳みそを使いました。クラスの中で結果を見たのですが、累計売上を比較してみると、安売りバトルのグループや両者高売上のグループなど、いろいろありました。私の戦略は、実は商品が6個しかないので、競合に安くこの6個をゲットさせ、残りのカスタマ(4)は私の独占市場になるので最大価格をつけれる、というもの。考えとしてはよかったのですが、「相手に安い価格をつけさせる」というところがかなり難しかった。私も低めのオファーをして相手を牽制していたら、相手よりも低くて結局私が売上することになっちゃった、とか(笑)。

このゲームのwin winソリューションは、相手も自分も常に最高額(10ユーロ)をオファーするというもの。同じ価格であれば順番に売上計上ができるので、結果としてお互いに50ユーロ稼げます。最悪の場合でも、4個売れば40ユーロの売上(相手の在庫終了を待って自分の在庫を売る)。なので40以下の売上を計上した人ははっきりいって「おばかさん」と言うわけで(笑)。クラスは40人ほどいるのですが、40以上の売上記録した人は4人ぐらいだったかな(笑)。私も37で低めでした。相手の値段を下げさせようとしたところで失敗したのが響いた。

来週の課題は、「相手の値段をどう下げさせるか」。私の戦略は間違ってはいなかったようです。


あ、長くなりますがそのついでに。
2つ目の授業は Management & Strategy 。初心者クラスですが、このクラスは何がいいかって、教授がものすごいわかりやすい。オランダ系フランス人の先生ですが、パワーポイントも私がMBAで受けたコースのなかでダントツにきれいでわかりやすいし、説明のしかたもとても素直に理解できる。ケースも盛りだくさんのコースになりそうで、今からとても楽しみです。

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